水虫はとても辛い症状がでます。症状の中にも痒みや痛みなど様々なものがあり、それによって治療薬も変わってくるので、むやみにドラッグストアで治療薬を選ぶのは正解とはいえません。また、水虫が発生する場所によっても治療法が変わるのでしっかりと自分の症状を知った上で治療を開始する必要があります。

水虫に塩素系薬剤を使うのは意味が無い

水虫の治療はかなり根気のいるものです。水虫薬を丁寧に使ったとしてもなかなか改善されなかったり再発してしまうことも多いでしょう。そのようなときにインターネットで‘水虫の治し方’を検索してみると、様々な民間療法が検索されます。その中には台所用漂白剤やお風呂場のカビ取り剤であるカビキラーなどで水虫が完治したという記事が書かれていたりします。このような民間療法は本当に信じられるものなのでしょうか。

たしかにカビキラーなどの塩素系薬剤や漂白剤に含まれる主成分「次亜鉛素酸ナトリウム」は、水虫の症状の原因菌である「白癬菌」を殺すことができます。しかし、次亜鉛素酸ナトリウムは白癬菌に直接作用して殺菌してくれる薬剤というわけではなく、体の細胞膜自体を壊す作用を持つ強力な薬剤です。皮膚の表面をボロボロにしてしまって水虫の症状をわからなくしてしまっているだけなのです。また水虫には皮膚に感染するだけではなく爪にも感染します。硬い爪の中に感染した白癬菌を退治するためには、爪自体を塩素系薬剤で溶かしてボロボロにするしかありません。これでは本当の治療とは呼べないでしょう。

塩素系薬剤で殺菌するのは、白癬菌だけでなく皮膚常在菌のすべてを殺菌します。殺菌の効果は一時的で、またすぐに菌が皮膚につきます。塩素系薬剤は皮膚までボロボロにするため、新しくついた菌が皮膚の中に入りやすくなり、水虫とは別の感染症を引き起こしたり皮膚炎になってしまうことにもなりとても危険です。

足の裏に水ぶくれや皮が剥がれているのをみると、まず水虫だと判断しがちです。しかし、必ずしもそれが水虫であるとは限りません。かぶれや湿疹が原因であることもあり、これは皮膚の専門医でないと判断できません。水虫の症状だと判断されるためには、皮膚の一部を取り顕微鏡でみて白癬菌が確認されないといけません。もしも医者にみせる前に薬剤を使ってしまうと、白癬菌がいるかわからなくなり判断できなくなります。しっかり治療するためには自己判断はやめてまずは医者に診てもらうことが肝心です。

皮膚正面の常在菌が死滅するとどうなる?

カビキラーなどの塩素系薬剤は、水虫専用の薬剤とは違い、細菌や白癬菌などの真菌もすべてを殺す薬剤です。皮膚には常に皮膚常在菌が住み着いており、善玉菌・悪玉菌・日和見菌などに分けられ、様々な種類の菌がおり、それぞれが牽制しあいながらバランスを保って生活しています。善玉菌は肌の潤いを保ち、乾燥を防ぎ外部刺激から守るなど肌に良いことをしてくれます。反対に悪玉菌は湿疹や肌荒れを引き起こすなど肌に悪いことをします。日和見菌は善玉菌と悪玉菌のバランスによりどちらにつくか決めます。

皮膚常在菌は外部からくる細菌や病原菌に対して防御する機能をもっています。皮膚に住み着く菌がお互いに作用して拮抗しているため、外部の菌が入ってきても定着することができません。入ってきたとしても、皮膚常在菌が作用して菌の増殖を止めてしまいます(静菌作用)。体内の免疫系に作用して免疫機能を強化する作用も持ち合わせています。皮膚常在菌とうまく共生することで人間は健康に生きられるのです。

塩素系薬剤で水虫の原因である白癬菌を殺そうとすることは、皮膚常在菌もすべて殺してしまうことにつながります。これまでみてきたように、皮膚常在菌は肌の潤いを保ち、肌荒れを防いだりするだけでなく、細菌や病原菌の侵入を防いで皮膚炎や病気になることを防いでくれます。

皮膚を健康に保つことは皮膚常在菌のバランスを保つことです。自己判断で水虫を治すために白癬菌を殺そうと塩素系薬剤を使ってしまうと皮膚常在菌が死滅してしまうだけでなく皮膚の細胞そのものを壊して肌を危険な状態にさらしてしまいます。すると湿疹や肌荒れなど皮膚の状態が悪化したり、病原菌の侵入を招いて体調の悪化を招いてしまいます。

関連記事